2014/05/06

たまこラブストーリー感想

 別に観るつもりはなかったんだけど暇だったので、たまこラブストーリー」観てきた。以下感想(ネタばれはたぶんないはず)。

 まあ、直球で恋愛ものでした。まじめにしっかりと、恋を描いた作品。いや、確かにそう銘打たれていたけれども、前作「たまこまーけっと」が全然そういう感じじゃなかったから、かなり疑ってたのよ。

 完成度はさすがのけいおん!チームって感じ。ぼかしの入った画面の瑞々しさ(トイカメラ的であるという評も見かけたことがある)は、好きな人にはたまらないと思われる。劇伴も相変わらずの説得力で、特にピアノとファゴットが素晴らしかった。

 ストーリーは非常に分かりやすかった。「まーけっと」の前衛的な雰囲気とは正反対と言ってもいい。絵に描いたようなラブストーリーだから、「まーけっと」を観ていなくても簡単に話が掴めるんじゃないかな。前作の飄々としたたまこを知っていると、彼女がまるで別人のように感じられるのは、きっと変化の証なんだろう。「たまこ、むけました」のコピーに嘘はない。

 上では恋愛ものって書いたけれど、印象に残ったのはむしろ恋愛未満の、生まれたままの「恋」の感情だった。相手のことが頭から離れなくなって、他の事は何も手に付かなくなって、胸がちりちりと焦げるような苦しい感情。あれをあんな風に描き出せたのは、やっぱり力のあるスタッフだからこそなんだろうな。この点は「たまこラブストーリー」最大の魅力だと思う。

 しかし、この作品は良くも悪くも「劇場版たまこまーけっと」ではなくて、全く別の「たまこラブストーリー」だわ。無色透明だった「まーけっと」とは、舞台とキャラ以外何もかも違う。前作は終始どこか客観的な視点に徹していたけれど、今作はたまこやもち蔵、みどりの主観的な視点から描かれていた。家族や商店街の人々は、あくまで脇役だったわ。

 「まーけっと」の薄味さが気に入らなかった(私みたいな)人も、「ラブストーリー」は充分に楽しめる可能性がある。あとファンタジー要素もぐっと少なくなってるから、そのあたりも人によってはプラスなんじゃないかな。

 その反面、「この話って『たまこまーけっと』でやる必要あったの?」という気持ちも拭えないところではある。何もかも違うなら、「たまこまーけっと」である必要が無いもの。わざわざ短編を別に作ったくらい南の島組の扱いに苦心したみたいだし、ストレートなラブストーリーだから「まーけっと」のキャラじゃなきゃできないわけでもないだろうし。完全新作じゃだめだったのかなあ……。

 というかね、ぶっちゃけ「何でこれをTVでやらなかった」と言いたい。「たまこまーけっと」が初めて発表された時は、けいおん!で描かれなかった恋愛というテーマを彼女らが描いてくれるという点に期待したんだよ。たぶん私だけじゃなく、かなりの人がこういう濃密なドラマを期待したはずだ。1クール12話かけて「たまこラブストーリー」のラストに持って行っていたら、きっともっと評価も高かったんじゃないかなあ。こんな風に後から映画でやっても、どうしても前作のイメージを引きずってしまうから、人を集めにくい気がする。だからもういっそ、今回は完全新作でよかったのでは。

 そんなこんなでちょっと文句を付けてしまったけれど、映画そのものが良かったのは間違いない。恋愛ものが嫌いじゃなければ、観てみても損はしないんじゃないかな。私は元々結構デラちゃん好きなので、「南の島のデラちゃん」も、もっと観たかったなあなんて思ったりするくらいだわ。

 以下おまけ。


 新しくなったこのロゴ、すごくスタイリッシュだよね。どうやら和文部分はUDタイポス510、欧文部分はFutura (Louis Vittonのロゴなんかで有名なフォント)みたい。「ブ」の濁点がハートになっていたり、横のラインがバトン(2014/5/14追記: バトンて。糸電話だろJK……)になっていたりでして、キュートさもあるのよねえ。鮮やかな黄色がバックの青空に映えていて、また素敵だわね。

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